カタツムリは、くるくる渦巻きの殻をしよった姿がかわいいからか、
「でんでんむし、むし……」
と歌にもなったのに、同じ仲間のナメクジは嫌われ者だ。
「ナメクジみたいな野郎」
といえば、
「ウジ虫」ほどひどくはないが、陰気ではっきりしない、
あるいはナョナョしたオトコの代名詞みたいなもの。
湿った場所にしか姿を現さず、くねくねノロノロ歩を進める姿からの
連想だろうか。
しかし、これではナメクジが哀れ。本当はカタツムリの進化した姿なのだ。
もともとカタツムリのような陸貝だったナメクジは、
殻をつくるためにはカルシウム分が欠かせない。
体の乾燥を防ぐためには殻が欲しいが、
カルシウム分が不足すれば生きていけない。
カルシウム不足の土地では、種が絶滅しかねない。
ならカルシウムのかわりになるものをというので、
粘膜で全体を覆っただけでも生きていけるよう進化したのだった。
おかげで、生きていける土地の範囲はひろがり繁殖には都合よくなったものあの、
内臓を守る殻を失い、体の中に無理やり収めた内臓は、
移動のためのぜん動運動のたびに圧迫される。
そんな苦しみを味わってでも生きていかねばならないのだ。
人間だって開拓者は苦労するもの。
イギリスを逃れて新世界にわたったピルグリム・ファーザーズも、
明治維新で本土を追われ、蝦夷で開墾地を切り開くしかなかった会津藩士も同じ。
今やアメリカが世界のリーダーとなり、
北海道がグルメ観光のメッカになったように、
ナメクジにも栄光の日は、きっと来る!?